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Hi.

これまで書いてきた旅の記事や、書ききれなかったこぼれ話を集めてみました。

おいしく手軽で腹持ちもいい 長距離旅行の相棒サモサ

おいしく手軽で腹持ちもいい 長距離旅行の相棒サモサ

ここ3年ほど、毎年インドを旅行している。訪れるのは主に、西海岸にある大都市ムンバイと南西のゴア州だ。

大きな国際空港があるムンバイからゴアまでは、飛行機で1時間半ほどだが、個人的には高速バスに14〜15時間揺られるのんびりルートが気に入っている。街中から乗って街中で降りられるのも楽でいいし、道路沿いには、観光地では決して見られない味わい深い風景が広がっているからだ。

ゴア北部の中心地パンジムのバスターミナル。バスが本当に来るのか不安になるような場所にあるが、携帯電話でバスの現在地をリアルタイムで見ることができ、直接連絡を取ることもできるので、便利で安心

長距離移動の手段としては寝台列車もあるが、私は断然、エアコン付きの寝台バス派である。半畳くらいの狭いスペースだが、通路側にカーテンがあり、周りの目を気にしなくていいのがうれしい。インドに来ると街のパワーに圧倒されてしまうので、このちょっとしたプライベート空間をオアシスのように感じてしまうのだ。

向かって右側が1人用、左側が2人用の席で、それぞれ上段と下段がある。足は伸ばせるが高さが無いため、体を垂直に立てて座ることができないのが玉に瑕(きず)

カプセルホテルのような寝台は快適なのだが、エアコンがかなり強力なのが難点だ。薄い毛布が1枚備え付けてあるものの、時々、まわりの席からゴホゴホと咳き込む音が聞こえてくる。私も初めて乗ったときに凍える様な思いをしたので、それ以降、薄手のブランケットとセーターを持参するようになった。バス以外では出番がないため、荷造りをするときに一瞬思いとどまるものの、毎回これで快適に長距離移動を楽しめているのである。

サービスエリアでの休憩中に、スタッフがバスのフロントを掃除する。走行中に砂ぼこりで汚れてしまうからだ。バケツに水をくみ、コップとふきん、洗剤だけでピカピカに磨き上げる様子はまさに職人技

一方で、インドらしい旅情を求めるなら鉄道の方がお勧めだ。寝台バスのようなカーテンはないし、寝台を出したりたたんだりなど、周りとのやりとりが必然的に多くなる。「バナナをたくさん持って来たので1本どうですか?」「ありがとう、じゃあお返しにクッキーでもどうぞ」。こんなやりとりも、ほっこりとして楽しいものだ。

寝台列車は、正面に見える寝台が2段の席と、手前の3段の席がある(もちろん、寝台なしの席もある)。手前の寝台3段の席は、寝る時間以外は真ん中の寝台をたたんで座って過ごす

さて、インドの長旅のお供は、毎回サモサである。そうと決めているわけではないが、腹持ちの良さと手軽さを考えると、結局、いつもサモサに行き着いてしまう。もちろん、単純に好物であることも理由の一つだ。

ご存知の方も多いかもしれないが、サモサは小麦粉の皮にスパイスの利いたジャガイモを詰めて揚げた食べ物である。街角の屋台から食堂まであちこちで売られていて、1個15円ほど。大きさは店によって様々だが、大きめのものであれば、一つでお腹がいっぱいになってしまうほどのボリュームがある。

長距離旅行のお供の定番は、サモサと水。左側に見えているのは、サモサに付いてきたココナツのチャツネ。これにお菓子がちょっと加われば、長旅も快適に過ごせる

注文すると、できたてを新聞紙や紙袋に包んでくれたりするが、時間が経つと、紙に油がじっとりとしみて来る。長距離バスのお供にするには、ビニール袋とお手ふきが不可欠だ。

揚げたてのカリッとしたサモサをフーフーと冷ましながら食べるのもいいが、バスに揺られて少し小腹が空いた頃、カバンから出した少ししけたサモサにかぶりつくのも味わい深い。皮の甘みと、ジャガイモに絡むスパイスの香りや辛みがいいバランスで、後を引く。満たされた気分でバスに揺られていると、いつの間にかうとうとと眠くなってしまうのが、またいいのだ。

これまで、クッキーや塩味のスナックなどで長旅をしのごうとしたこともあるが、どうも満足感がない。かといって、揺れる車中でお弁当のようなものを食べるのは至難の技だ。そんなこんなで、毎回、満足感と食べやすさを兼ね備えたサモサに落ち着くというわけである。

とはいえ、インドの長距離バスや列車には軽食や飲み物の販売員がいるし、バスであれば途中、食堂のあるサービスエリアで休憩するので、軽食を持参しなくてもさほど困りはしない。だが、「突然おなかがすいたら」とか「売りに来た時に寝ていたら」など、心配になってしまう。そして、やっぱりバスに乗る前にサモサを買いに走るのである。

サモサの作り方を紹介してくれたジェイ君。クラフトジン「Greater Than(グレーター・ザン)」と「Hapusa(ハプーシャ)」を造るナオ・スピリッツで蒸留の管理責任者をしている

今回、作り方を紹介してくれたジェイ君は、ゴアでインド初とされるクラフトジンを造っている。出会った頃は大学を卒業したばかりで初々しかったが、会うたびにたくましくなっている。食べることや料理が大好きで、「ラーメンも作ってみたことがあるよ!」と教えてくれた。いつか、日本に来ることができたら、お返しに、ぜひおいしいラーメンをごちそうしたい。

<サモサのレシピ(4個分)>

【生地】
薄力粉 100g
塩 小さじ1/4
サラダ油 大さじ2
水 約1/4カップ

すべて混ぜて、ひとまとまりになるまで練る。生地の質感は、耳たぶより少し固いくらいが目安なので、必要に応じて水もしくは薄力粉を少し足す。15分休ませる。

【中身】
ジャガイモ(ゆでて皮をむき、つぶす) 200g
カシューナッツ(軽く刻む) 大さじ1
青唐辛子(みじん切り) 1本
ショウガ(みじん切り) 大さじ2
ニンニク(みじん切り) 1片
パクチー(みじん切り) 大さじ2
ターメリック ひとつまみ
赤唐辛子 ひとつまみ
クミンパウダー 小さじ1/2
ガラムマサラ 小さじ1/4
塩 小さじ1/4
サラダ油 大さじ2

1. 青唐辛子、ショウガ、ニンニクを油で香りが出るまで1分ほど炒める。
2. ターメリックと赤唐辛子を入れてさらに炒める。
3. カシューナッツを入れてさらに炒める。
4. ジャガイモを入れてさらに炒める。
5. ガラムマサラ、クミン、塩を入れて弱火にし、2〜3分炒める。
6. 火を止めて、パクチーを混ぜ入れ、冷ます。

【包んで揚げる】
1. 生地を半分に分け、打ち粉をした台の上で麺棒でそれぞれ楕円(だえん)形に伸ばし、半分に切る。

2. 切った生地を一つ手に取り、切った部分に水を塗って合わせ、逆さまの円錐(えんすい)形にする。

3. 中身の1/4を2の内側に入れ、生地の端に水を塗って余っている部分をふたのようにかぶせて閉じる。
4. 弱火で2分揚げ、ひっくり返してさらに2分揚げる。

5. できあがり!

こちらで紹介したサンバルを合わせてもおいしい

生地もしくは具が余ったら、生地はそのまま揚げて塩をふればおやつになり、具はそのままジャガイモのカレーとして食べるか、ヨーグルトやマヨネーズを混ぜてカレー風味のポテトサラダにしてもおいしい

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