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Hi.

これまで書いてきた旅の記事や、書ききれなかったこぼれ話を集めてみました。

爽やかでどこか懐かしい マンダリーネン・シュマント・クーヘン

爽やかでどこか懐かしい マンダリーネン・シュマント・クーヘン

2019年夏、結婚式に参列するため、ドイツ南部を訪れた。

真夏とはいえ、初夏のような爽やかさだ。日本を出る前に気温の確認をしていたにもかかわらず、上着をカバンに詰め忘れ、現地で慌てて買うはめになった。じっとしていても汗が出る東京にいると、夜の気温が10度近くまで下がると聞いても、全く実感がわかなかったのだ。

結婚式の前日、前祝いも兼ねて新郎である友人が実家へ招待してくれた。実家のある小さな村はミュンヘンから車で2時間ほどで、青々とした緑で覆われ、目にも涼しげな景色が広がっている。もともと酪農業を営んでいたため、大きな牛舎と倉庫に隣接する立派なおうちだった。

友人の姉、ビルギットさんが作ってくれたロートケプヒェン・トルテ(手前)とマンダリーネン・シュマント・クーヘン(奥)

迎えてくれたのは、ご両親とお姉さんの家族。お姉さんのビルギットさんは、「日本から来てくれたから」と、大きなケーキを二つも焼いて持ってきてくれていた。テーブルには庭で摘んできたというオレンジ色の花や、ご両親が結婚祝いにもらったという年代物のキャンドルが飾られ、お母さんがいれてくれた特別なコーヒーも準備万端が整っていた。

ごちそうになったのは、赤いグレーズと絞り出したクリームが愛らしい「ロートケプヒェン・トルテ(赤頭巾ちゃんケーキ)」と「マンダリーネン・シュマント・クーヘン」で、どちらもさっぱりとしていて、コーヒーにとても合う。どこか懐かしい味わいのマンダリーネン・シュマント・クーヘンは「みかんのサワークリームケーキ」という意味なのだそうだ。上に並べられたみかんがテーブルの花とマッチしていて、なんとも可愛らしい。あとを引く味で、思わずおかわりをしてしまった。

マンダリーネン・シュマント・クーヘンは初めて食べるのにどこか懐かしさを感じる味わいだ

ケーキとコーヒーを一通りいただいたあと、お父さんが飼っている馬を見せてくれるというので、家から歩いて5分ほどの放牧場へ向かった。酪農業の引退後の楽しみとして飼い始めた馬は、今では5頭に増え、毎日馬車で近くの森に出かけるのが日課になっているそうだ。

友人のお父さんが趣味で飼っている馬。可愛いけれど、近くで見ると大きくて迫力がある

翌日、古い城跡を改築した町役場で行われた式の後、向かいのレストランでおいしい料理をおなかいっぱい堪能していると、花で飾られた馬車が2台やってきた。

ウェディングケーキもかわいらしい

レストランを出ると、新郎のお父さんの馬が引く馬車が待っていた

なんと1台は、昨日友人の実家で見せてもらったお父さんの栗毛の馬たち、もう1台はお父さんの馬車仲間が飼っている黒毛の馬が引いていた。2台の馬車は街を抜けて田舎道を約1時間進み、ゲストをビアガーデンまで連れて行ってくれるという粋なはからいだった。思わず「ドイツではそれが普通なの?」と聞くと、「商業的にそういうサービスはあるけど、趣味でやっているのはかなり珍しいと思うよ」と笑われてしまった。

爽やかな草原を馬車に揺られてビアガーデンに着くと、お祝いはのんびりと夜まで続くのだった。

郊外のビアガーデンでさらにお祝いは続く。すでにおなかいっぱいだが、締めにレバーケーゼとプレッツェルを注文してしまった

ビアガーデンからまた馬車に乗って町に戻る。馬車には、ビアホルダー付きのテーブルとビールが準備されていた

ビルギットさんに二つのケーキのレシピを教えてもらったが、今回は、日本でも手に入りやすい材料でできるみかんのサワークリームケーキを紹介する。ドイツでいただいた時は感じなかったが、作ってみると少々甘く感じたので、砂糖の量は半分に減らしてある。気候なども関係あるのだろうか。帰国後に自宅で作ってみることで、味の感じ方が変わっていることに気づくのも面白いものだ。

<マンダリーネン・シュマント・クーヘン>
直径22cm、深さ3cmの型ひとつ分
【材料】
-生地-
バター 50グラム
薄力粉 100グラム
砂糖 40グラム
卵 小1個(もしくは大半分)
ベーキングパウダー 小さじ1

-フィリング-
みかんの缶詰(400グラムくらいのものの汁を切る) 1缶
牛乳 250ml
砂糖 40グラム
コーンスターチ 35グラム
サワークリーム 300ml
※手に入りにくい場合は生クリーム200mlとヨーグルト100mlで代用可。さっぱりさせたい場合は生クリーム100mlとヨーグルト200mlで
バニラエッセンス 少々

【作り方】
-生地-
1. ボウルに薄力粉とベーキングパウダーをふるい入れ、砂糖を加え、バターを斬りこむように混ぜる。
2. バターの粒が小さくなったら、溶いた卵を加え、ひとまとめにする。
3. ラップで覆い、冷蔵庫で30分休ませる。

生地がある程度まとまったら冷蔵庫で休ませ、型の底と側面にできるだけ手早く薄く伸ばす

-フィリング-
1. 牛乳の半分を鍋に入れ、弱火にかける。
2. 残りの牛乳に、砂糖とコーンスターチ、バニラエッセンスを加え、だまがなくなるまで混ぜる。
3. 鍋の牛乳が沸いてきたら、2を加えてヘラで混ぜる。焦げやすいので、焦げそうだったら時々火から下ろす。全体がのり状になるまで火を通す。
4. 火から下ろし、サワークリームを入れて泡立て器で滑らかになるまで混ぜる。

-成型-
1. 型の底と側面に生地を均等に押し付ける。
2. 1にフィリングを入れ、汁を切ったみかんを並べる。
3. 180℃のオーブンで1時間焼く。
4. オーブンから出し、完全に冷めるまで3時間ほど置いておく。
※冷めないうちにケーキを切ると形が崩れてしまうので、気長に待つこと
※オリジナルレシピには、「缶詰の汁を温めてゼラチンを溶かし、冷めたケーキの表面に塗ってグレーズにする」とあったが、何件かスーパーをまわったもののゼラチンが売り切れていたので今回は省略した

切るのは十分に冷めてから

この記事は朝日新聞デジタル版に2020年7月1日付で掲載されたものです。https://www.asahi.com/and/article/20200701/300260676/

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