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これまで書いてきた旅の記事や、書ききれなかったこぼれ話を集めてみました。

ブドウ収穫後、がっつり食べた! シャトー・クーテットのハーベスターズチキン

ブドウ収穫後、がっつり食べた! シャトー・クーテットのハーベスターズチキン

2019年の秋口、フランス・ボルドーのワイナリーでブドウの収穫に参加した。

以前、サンテミリオン地区のシャトー・クーテットを訪れた際、取材に応じてくれたアドリアンさんが「機会があれば、ぜひ収穫にも参加してね」と誘ってくれていたのだ。

「ボルドーのワイナリーでブドウの収穫」と言うと聞こえはいいが、とてつもない重労働である。まず、ワイン造りに適したブドウがなっているのは、ブドウ棚の一番下、ひざほどの高さで、中腰もしくはしゃがみこんだままの作業が続く。さらに、ブドウをかごに入れながら一直線に伸びるブドウ棚を移動して収穫していくので、背中から下のいたるところが痛んでくるのだ。

ワイン用のブドウはひざくらいの高さになっていて、収穫は晴れても降っても続くので大変だ

午前8時から2時間の昼休みを挟んで、午後6時まできっちり8時間の収穫作業。体の節々が痛んでも、広大なブドウ畑で働くのはすがすがしく、誰かが歌い出したり大声で冗談を言ったりすると、あちこちで笑顔がはじけ、つらさがふっと軽くなるのだから不思議なものだ。

2019年は近年まれにみる大豊作だったそう photo by Clemence

収穫を手伝いに行ったシャトー・クーテットは、1601年からダヴィド・ボリウ家による家族経営のワイナリーで、創業当初から有機栽培を貫くこの地区唯一のワイナリーでもある。私を誘ってくれたアドリアンさんはビジネス面を、叔父のアランさんといとこのマチューさんが醸造を主に担当しており、雰囲気もとてもアットホームだ。収穫期の人集めには、どこも苦労すると聞くが、クーテットでは親戚を始め、世界中から友人知人を含めて30人ほどが手伝いに来ていた。

収穫したブドウは機械で枝と葉を取り除いた後、手作業で未熟な実や虫などを取り除く。シャトー・クーテットのブドウは有機栽培なので、虫がいっぱいいるのだ photo by Clemence

2週間の収穫期間中は基本、毎日働いて食べて寝る、の繰り返しで、食事が大きな楽しみとなる。3度の食事はワイナリー側が準備し、庭に置かれた大きなテーブルをみんなで囲むご飯時はにぎやかそのもの。朝食はケーキやシリアル、昼食はハムやパテ、チーズにバゲットとだいたい決まっているが、夕飯のメニューは毎日違う。ブドウ畑で働きながら、今夜は何かな?と想像を巡らすのがまた楽しい。

昼ご飯と夜ご飯は庭に設置してあるテーブルで食べる。料理はこのテーブルに並べられ、各自お皿に取っていく

午後6時に仕事が終わると、収穫を手伝いに来た私たちハーベスター(収穫者)はシャワーや洗濯を済ませ、ビール片手にゲームやおしゃべりをしながら夕飯を気長に待つ。四六時中一緒にいるので、みんな親戚同士のような雰囲気だ。ワイナリーのスタッフが機器の掃除と片付けを終え、アドリアンさんが腕を振るう夕飯が始まるのは、全員がそろう午後9時過ぎとなる。

ハーベスターの中には音楽をやっている人も多く、休み時間や食後は誰からともなくセッションが始まる photo by Clemence

夜ご飯のメニューは、ポトフやカモのコンフィなどのフランス料理からズッキーニの肉詰めとクスクスまで、バラエティー豊かだ。テーブルに無造作に置かれた瓶にはシャトー・クーテットのワイン。もちろん、飲み放題である。みんなおなかがペコペコなので夕飯はすぐに食べ終わってしまうが、たき火を囲み、ワイン片手におしゃべりや音楽の演奏は毎晩夜遅くまで続くのだった。

9月下旬のボルドーは、日が沈むと気温がぐっと下がる。たき火の周りがハーベスターたちの憩いの場だ

今回紹介するのは、夕飯の中でも個人的なお気に入りだった「クーテットのハーベスターズチキン」。アドリアンさんにレシピを教えてもらって作ってみたところ、覚えていたより食べ応えがあって驚いた。やはり、肉体労働をしていたあの頃とデスクワークばかりの今では、感じ方が少し違うのだろう。だが、味は記憶通りで、やっぱり絶品だった。

送られてきたレシピの最後には、「白いご飯と3~5年もののシャトー・クーテットのワインと合わせると完璧」と書き添えられていた。クーテットのワインは難しくても、繊細さのあるボルドーの赤ワインをぜひ合わせてみてほしい。

<クーテットのハーベスターズチキン>
【材料(2人分)】
手羽元 6本
玉ねぎ(みじん切り) 半個分
マッシュルーム(薄切り) 1パック(約150g)
ベーコン 70グラム
生クリーム 100グラム
塩こしょう 少々
油 少々
オリーブオイル 少々
タイム 少々

玉ねぎとベーコンは細かく切り、マッシュルームは薄切りにする

【作り方】
手羽元に塩を少々振り、油を薄くひいたフライパンで5分ほど、表面の色が変わるまで焼く。
焼いた手羽元を210℃のオーブンに入れ、45分焼く(途中で1度ひっくり返す)。
フライパンにオリーブオイルを大さじ1ほど入れ、玉ねぎを5分ほど炒めて皿にあける。
同じフライパンにオリーブオイルを少し足し、マッシュルームを入れて5~7分炒め、ベーコンを加えてさらに5~7分炒める。

玉ねぎ、マッシュルーム、ベーコンはしっかり炒める

フライパンに玉ねぎをまぜ合わせ、生クリームを加え、塩こしょう、タイムで味つけをし、クリームソースの完成。
焼きあがった手羽元にクリームソースをかけて出来上がり。

濃厚なクリームソースと香ばしいチキンがご飯や赤ワインと良く合う!軽めの赤ワインと合わせて

シャトー・クーテット
http://chateau-coutet.com

この記事は朝日新聞デジタル版に2020年6月17日付で掲載されたものです。https://www.asahi.com/and/article/20200617/300253788/

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