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Hi.

これまで書いてきた旅の記事や、書ききれなかったこぼれ話を集めてみました。

知れば知るほど好きになる 暮らしたい街、ボルドー(1)

知れば知るほど好きになる 暮らしたい街、ボルドー(1)

一目ぼれだった。
静かな通りを抜けて広場に出ると、旅の疲れが一気に吹き飛んだ。地球を半周して、到着したのは午後9時すぎ。広場を囲む華麗な大劇場やホテルを、初夏の夕日が優しいクリーム色に輝らしている。明かりがともされ始めたテラスや、ゆるやかに曲がる石畳の裏道まで大にぎわい。夜はこれからのようだ。

ボルドーと言えばワイン。ボルドー産ワインの88%は赤だが、夏の間はロゼと白がよく飲まれている

ボルドーと言えばワイン。ボルドー産ワインの88%は赤だが、夏の間はロゼと白がよく飲まれている

ボルドー」と聞いて、まず思い浮かぶのはワインだろう。実際、フランス国内のワイン生産量はダントツの一位。街自体もワインとともに発展してきた。大西洋に注ぐガロンヌ河の河口近くに位置するボルドーは、ローマ時代からワインを含む交易の中継地として栄え、中世のイギリス領地時代に、輸出用ワインの生産地としても知られるようになった。フランスへの返還後、ボルドーワインはパリの上流階級から絶大な支持を受ける。大富豪が競って著名ワイナリーを買い求め、豪華絢爛(けんらん)なシャトーを建てた。2007年に世界遺産登録された華麗な旧市街地は、何世紀にも渡るワインの生産と交易による富をもって築かれたものなのだ。

大西洋に注ぐガロンヌ河の河口近くに位置するボルドーは、ローマ時代からワインを含む交易の中継地として栄え、中世のイギリス領地時代に、輸出用ワインの生産地としても知られるようになった。フランスへの返還後、ボルドーワインはパリの上流階級から絶大な支持を受ける。大富豪が競って著名ワイナリーを買い求め、豪華絢爛(けんらん)なシャトーを建てた。2007年に世界遺産登録された華麗な旧市街地は、何世紀にも渡るワインの生産と交易による富をもって築かれたものなのだ。

美しい街並みもさることながら、ボルドーの魅力は生き生きとした暮らしのなかにある。世界遺産の建物からは若者たちの笑い声や流行の音楽が聞こえ、古い教会を改装した映画館では年配の夫婦がのんびりと語り合っている。街角のワインショップで手頃なロゼを吟味している若い男の子たちの姿も、ここでは日常の風景なのだろう。
街中の広場や通りを彩るテラスは、どこも連日深夜まで大繁盛だ。美味しそうな匂いやおしゃべりの声、柔らかい明かりに、なんだかホッとするような心地良さがある。夜中の12時をまわっても、ワインを囲んでゆったりと夕飯を楽しむ習慣は、ボルドーのすぐ南に位置するスペインの影響だと言う。

この街に着いてすぐに感じたおおらかさや居心地の良さは、スペインやイギリスなど、外の文化と古くから交流してきた歴史の中で培われたものに違いない。

2006年に誕生した水鏡に築300年のブルス広場が映し出される荘厳な景観は、ボルドーの人気撮影スポット

2006年に誕生した水鏡に築300年のブルス広場が映し出される荘厳な景観は、ボルドーの人気撮影スポット

ボルドーっ子が絶賛する「マイルズ」のコース料理には、カモ肉や梅干し、ココナツミルクなど、地元と世界各地の食材がちりばめられている。店を共同で運営するのは、パリの料理学校で腕を競い合った、国籍の異なる4人の若手シェフだ。

ベトナム人の父とフランス人の母を持つラオーシェフが、日本、イスラエル、ニューカレドニアと、国籍の違う料理学校時代の友人たちと構えたレストラン「マイルズ」。多様な背景を持つシェフたちが作り出す新しい料理が人気だ

ベトナム人の父とフランス人の母を持つラオーシェフが、日本、イスラエル、ニューカレドニアと、国籍の違う料理学校時代の友人たちと構えたレストラン「マイルズ」。多様な背景を持つシェフたちが作り出す新しい料理が人気だ

「ボルドーは保守的な部分もあるけれど、ダイナミックな街だし、僕たちの新しいコンセプトを受け入れてくれると思ったんだ。質のいい暮らしができるしね。」共同運営者のラオーシェフは、ボルドーに店を構えた理由をそう教えてくれた。

人口24万人の街ボルドーは、「フランス人が住みたい街」ランキングで、何度か1位に輝いている。温暖な気候やトラムで手軽にまわれる市街地、ガロンヌ河のようにゆったりと流れる時間。そしておいしいボルドーワイン。シンプルなことを心から楽しめる、まさに、暮らしたい街である。一目ぼれどころか、知れば知るほど、恋してしまいそうだ。

取材協力:ボルドーワイン委員会 https://www.bordeaux-wines.jp

レストラン「マイルズ」(Miles)
住所:33 Rue du Cancera, 33000 Bordeaux, France
電話:+33 5 56 81 18 24

*この記事は、2016年7月29日付で朝日新聞デジタル版&Travel「あの街の素顔」に掲載されたものです。https://www.asahi.com/and_travel/20160729/1423/




世界中のワイン文化を網羅する必見の博物館 ボルドー(2)

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