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これまで書いてきた旅の記事や、書ききれなかったこぼれ話を集めてみました。

ホッとする味 インドの定番朝食「エッグブルジ」

ホッとする味 インドの定番朝食「エッグブルジ」

どこにいても、目覚めた瞬間に朝ごはんの匂いが漂ってくると幸せな気持ちでいっぱいになる。野菜を刻む音や炒める音に続いて、パッとおいしそうな匂いがすると、いてもたってもいられず、飛び起きてしまう。

インド南西部のゴアで、友人ターニャの家に滞在していた時もそうだった。朝、あちこちで鳴く鳥の声に紛れて、トントントン、と台所から何かを刻む音が聞こえてくる。ターニャが作ってくれるのは二つに一つで、カリフラワーのカレーか、インド風スクランブルエッグのエッグブルジだ。

ターニャが作ってくれたエッグブルジとパラタ

エッグブルジは、南ゴアの中心地マーガオで泊まっていた宿のオーナー夫妻、ネルソンさんとベティさんの自宅でもごちそうになった。

マーガオに住むネルソンさん宅のダイニングルーム

ネルソンさん、ベティさん夫妻に招かれた朝食でいただいたブルジとロティ

少なくなりつつある伝統的なゴアの家に住むネルソンさんの食卓には、フォークとナイフが用意されていたが、やっぱり一口大にちぎったロティでブルジをつまみ、そのまま手で食べるのがおいしい。「ブルジ」は「混ぜる」という意味、エッグブルジはまさにスクランブルエッグという意味だそうだ。

インドの朝は、はつらつとしている。日差しが強まる前のひととき、食堂や屋台には温かい朝食を求めて次から次へと客が訪れ、去って行く。

マーガオの食堂は、朝早くから朝食を食べる人でにぎわう

マーガオの食堂での朝食。左上から時計回りにプーリ・バージ、ドーサ、イドリ

パンを浸して食べる優しい味のジャガイモカレー「プーリ・バージ」、ソースに浸して食べる蒸しパンのような「イドリ」、巨大なクレープのような「ドーサ」。スパイスの利いた料理の多いインドだが、エッグブルジも含め、ゴアの食堂で現地の人々が食べていた朝食は優しい味わいのものが多かった。 そういえば、食堂でエッグブルジを食べている人はあまり見たことがないが、もしかしたら手軽に作れるので外ではわざわざ注文しないのかもしれない。

所変わって、ムンバイの食堂でエッグブルジを注文した時は、「スパイシー? それともスパイシーじゃないのがいい?」と聞かれ、友人と一つずつオーダーしてみた。インドでスパイシーというのだから身構えていたが、思っていたほどではなかった。外国人と見て辛さを控えたのか、そもそもさほど辛くしない料理なのかはわからない。どちらにしても、ほっとする味だ。

ムンバイの食堂で出てきたエッグブルジ。「スパイシー」を注文したけれど、それほど辛くはなかった

今回、エッグブルジの作り方を教えてくれたのは、冒頭に出て来た友人のターニャだ。「せっかくだからロティも一緒に」と、こちらもレシピをシェアしてくれた。何層にも重ねるパラタよりもロティの方が簡単に作れるとのこと。もちろん、バターを塗った食パンにも合うので、まずはエッグブルジだけ作ってみるのもいいかもしれない。

「普段は目分量で作っているから、細かい分量を改めて聞かれると迷っちゃう。でも、家庭によっても味が違うし、あまり難しく考えずに作ってみて」とのこと。ネットで検索してみたところ、クミンやコリアンダーを入れるレシピも多く、味付けも少しずつ違うようだ。興味があれば、何パターンか作って自分の好きな味を見つけてみるのも楽しいだろう。

<エッグブルジ>
【材料(2人分)】
玉ねぎ 1/2個
トマト(中サイズ) 1個
青唐辛子 2本
ニンニク 1/2片
ショウガ 少々
ターメリック 小さじ1/4
卵 2個
塩 少々
油 少々

作り方】
玉ねぎ、トマト、青唐辛子、ニンニク、ショウガは全てみじん切りにする。卵はボウルに割り入れてほぐしておく。
※青唐辛子がない場合は、ピーマン小1個で代用可
※青唐辛子は火を通すと辛みが和らぐが、ものによってはそれでも辛くなるので、苦手な方は青唐辛子の量を減らすか、ピーマンで代用するのがおすすめ
※ニンニクとショウガは好みにより入れなくてもよい。クミンや刻んだコリアンダーを足してみるのもおすすめ

フライパンに油を熱し、ニンニクとショウガを入れて香りを出す。玉ねぎを加えて透き通るまで炒める。
トマト、青唐辛子、ターメリック、塩を加え、トマトがペースト状になるまで火を通す。
卵を加えて好みの硬さになるまでかきまぜながら火を通す。

「トマトはペースト状になるまで火を通してね」とターニャから念を押された

<ロティ>
【材料(2人分)】
全粒粉 1.5カップ
塩 小さじ1/2
油 小さじ1/2
水 1/2カップ
粉 少々(打ち粉用)
油 少々(フライパン用)
バター
【作り方】
全粒粉、塩、油をボウルに入れて混ぜ、水を半分ほど加えて混ぜ合わせる。残りの水は少しずつ加えながら10分ほどこねる。生地が手につかなくなるまでが目安。状態によって、粉か水を少し足して調整する。こねあげた生地をタッパーに入れ、冷蔵庫で休ませる。

休ませた生地を4等分し、打ち粉をした台(まな板など)の上で、めん棒を使って丸く薄く伸ばす。厚さは1~2mm。
※めん棒がない場合は、瓶などで代用可
※生地は焼く直前に伸ばす。あらかじめ生地を全て伸ばしておくとくっついてしまう

フライパンを強めの中火にかけて、薄く油を敷く。伸ばした生地を入れ、気泡が出てくるまで片面を約45秒ずつ焼く。
※短時間で焼くよう心がける。焼きすぎると硬くなってしまうので注意

両面焼けたら、最初に焼いた面を下にして弱火にした直火に置き、ぷくっと膨らむまで20〜30秒焼く。

フライパンで焼いたロティを直火に乗せると、ぷくっと膨れる

焼いた生地をお皿にのせ、上面にバターを塗っておく。

出来上がり。好みでコリアンダーを添えても。ミルク入りの甘いコーヒーと一緒にどうぞ。

この記事は朝日新聞デジタル版に2020年6月3日付で掲載されたものです。https://www.asahi.com/and/article/20200603/300250968/

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